血液検査
白血球数
基準値:3200~8500/μℓ
体内に侵入するウイルスや細菌を撃退し、細菌等から体を守る働きをしています。体内のどこかで炎症や病気がある時は、数値が増えます。診断や治療後の経過観察にも使用されます。
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高値
感染症
炎症
腫瘍
など -
低値
敗血症
再生不良性貧血
自己免疫疾患
など
赤血球数
基準値:男性 400~539千/μℓ
女性 360~489千/μℓ
赤血球は、肺で取り入れた酸素を全身に運び、不要となった二酸化炭素を回収して肺へ送る「ガス交換」の働きをしています。赤血球数,ヘモグロビン(Hb)は、貧血や多血症の診断の指標として用いられます。
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高値
多血症
脱水症
高地に居住の方
など -
低値
貧血
白血病
妊娠
など
血色素量
基準値:男性 13.1~16.6g/dℓ
女性 12.1~14.6g/dℓ
赤血球の中に含まれるタンパク質で、酸素を全身に運ぶ役割を担っています。これが不足すると、赤血球が基準値内でも、鉄欠乏性貧血の可能性が高くなります。
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高値
多血症
脱水症
高地に居住の方
など -
低値
貧血
白血病
妊娠
など
ヘマトクリット値
基準値:男性 38.5~48.9%
女性 35.5~43.9%
血液全体に占める赤血球の割合をヘマトクリットといいます。血球の殆どは赤血球で占められている為、低値だと貧血が疑われますが、貧血検査には、赤血球数と血色素量,ヘマトクリット値を合わせて検査していきます。
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高値
多血症
脱水症
高地に居住の方
など -
低値
貧血など
血小板数
基準値 : 13.0~34.9万/μℓ 女性 35.5~43.9%
血小板は、出血した時に血を固めて出血を止める働きがあります。その為、血小板の数によっては、出血しやすかったり、血が止まりにくい状態になります。
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高値
感染症
白血病
血栓症
など -
低値
貧血
白血病
肝硬変
など
MCV
基準値:男性 82~102fℓ女性 79~100fℓ
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MCV高値↑・MCHC正常
ビタミンB12欠乏性貧血,葉酸欠乏性貧血など
基準値:男性 28.0~34.6Pg女性 26.3~34.3Pg
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MCV正常・MCHC正常でも貧血の場合
再生不良性貧血,腎性貧血,急性出血など
基準値:男性 31.6~36.6%女性 30.7~36.6%
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MCV低値↓・MCHC低値↓
鉄欠乏性貧血,鉄芽球性貧血など
これら3つの項目は、赤血球の大きさ,赤血球中に含まれるヘモグロビンの量や濃度を調べる検査です。貧血の種類を判別する為に使われます。赤血球数が基準値内でも、MCV(大きさ)が低値だと貧血になることがあります。
脂質代謝
中性脂肪
基準値:30~149mg/dℓ
体内の中で最も多い脂肪で、主に体のエネルギー源となる脂肪の一種です。食事の影響を大きく受け、食後に上昇します。また、食べ過ぎ,アルコールの飲み過ぎ,肥満によって高値となり、動脈硬化の発症、進行に関係します。
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高値
脂質異常症
甲状腺機能低下症
急性膵炎
など -
低値
肝機能障害
甲状腺機能亢進症
など
総コレステロール
基準値:140~199mg/dℓ
血液中のコレステロールの総量を調べる検査です。コレステロールは、細胞やホルモンを作る為には欠かせないものですが、増えすぎると動脈硬化を進行させ、心筋梗塞などにつながります。
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高値
脂質異常症
動脈硬化症
甲状腺機能低下症
など -
低値
肝硬変
甲状腺機能亢進症
など
LDLコレステロール
基準値:60~119mg/dℓ
コレステロールを肝臓から血液中に運ぶ働きがあり、LDLコレステロールが多すぎると、血管にコレステロールが付着し、動脈硬化が進行してしまいます。その為、「悪玉コレステロール」とも呼ばれています。
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高値
動脈硬化
脂質異常症
甲状腺機能低下症
など -
低値
甲状腺機能亢進症
肝機能障害
など
HDLコレステロール
基準値:40~119mg/dℓ
余分なコレステロールを回収し、肝臓に運ぶ運搬車の役割があり、動脈硬化を防ぐ脂質です。その為。「善玉コレステロール」とも呼ばれています。喫煙,運動不足,肥満などが原因で、値が低くなることがあります。
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低値
動脈硬化
高脂血症
甲状腺機能低下症
など
肝機能検査
総ビリルビン
基準値:1.1以下 mg/dℓ
赤血球中に含まれるヘモグロビンの分解産物で、胆汁に排出されます。肝臓や胆のう,胆道に異常がでた場合、ビリルビンが血液中に増え、黄疸が現れます。
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高値
肝炎
閉塞性黄疸
胆石症
など
AST(GOT)
基準値:30以下 U/L
ASTは、肝臓と心臓、骨格筋に多く含まれる酵素です。その為、肝臓、心臓、骨格筋などが障害を受けると、血液中の値が上昇します。
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ALTよりASTが高値
アルコール性肝炎,肝硬変など
基準値:30以下 U/L
ALTは、肝臓のみに多く含まれる為、肝疾患の指標に用いられています。肝臓に障害があると血液中に漏れ出て、値が上昇します。
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ASTよりALTが高値
急性・慢性肝炎,脂肪肝など
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ASTのみ高値
心筋梗塞,多発性筋炎,溶血性貧血など
γ-GTP
基準値:50以下 U/L
肝臓で解毒作用に関係する酵素です。飲酒によって上昇することが多く、アルコール性肝障害で値が上昇します。又、肝臓・胆道系疾患を疑う時にも、使用されることがあります。このγ-GTPには性差があり、女性よりも男性の方が高値を示す傾向にあります。
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高値
アルコール性肝障害
閉塞性黄疸
胆石症
など
ALP
基準値:104~338IU
肝臓・胆道・骨・腸などに多く含まれる酵素で、これらの臓器に障害があると血液中に漏れ出してくる為、値が上昇します。
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高値
肝疾患
閉塞性黄疸
骨腫瘍
など -
低値
甲状腺機能低下症
など
LDH
基準値:229以下 U/L
体内で糖をエネルギーに変える際に必要な酵素で、肝臓に最も多くふくまれていますが、筋肉や肺,血球などにも含まれています。心臓疾患や肝疾患,貧血や炎症などで値が上昇します。
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高値
急性・慢性肝炎
心筋梗塞
悪性貧血
など
膵機能検査
血清アミラーゼ
基準値:37~125U/L
食物から摂取したデンプンを体内に吸収しやすい糖に分解する酵素で、主に膵臓や唾液腺から分泌されます。主に膵臓に異常があると値が上昇しますが、飲酒や肥満,唾液腺の炎症などでも値が変動します。
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高値
急性・慢性膵炎
膵臓がん
唾液腺の疾患
など -
低値
進行した慢性膵炎
など
腎機能検査
尿素窒素
基準値:8~22 mg/dl/L
タンパク質が分解される時にできる老廃物の一種で、ほとんどが尿中に排出されますが、腎機能が低下すると血液中の値が増加します。尿素窒素は、単体で検査をすることはなく、クレアチニンと同時検査をして、腎機能を見ることがほとんどです。
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高値
腎機能障害
尿管結石
脱水症
など -
低値
低栄養
肝機能障害
など
クレアチニン
基準値:男性 1.00以下 mg/dL
女性 0.70以下 mg/dL
老廃物の一種で、腎臓が正常に働いていれば、ほとんどが尿中に排出されます。しかし、腎機能が低下すると血液中の値が上昇します。クレアチニンは、筋肉量に比例する為、女性よりも男性の方が高値を示します。
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高値
腎機能障害
糸球体腎炎
など -
低値
筋ジストロフィ-
尿崩症
など
血清蛋白
総蛋白
基準値:6.5~8.0g/dℓ
血液中の総タンパクの量を表し、ほとんどの病気で値が変動する為、基本的なスクリーニング検査として使用されます。特にタンパク質の合成に関わる肝臓やタンパク質の排出に関わる腎臓の疾患で値が大きく変動します。
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高値
慢性肝炎
脱水症
多発性骨髄腫
など -
低値
肝硬変
栄養不足
ネフローゼ症候群
など
血清アルブミン
基準値:3.6~3.9g/dℓ
血液タンパクの内で最も多く含まれ、肝臓で産生されます。全身の栄養状態の指標となるほか、肝障害の程度を反映する値になります。又、排出に関わる腎障害の程度も反映します。
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低値
肝硬変
栄養不足
ネフローゼ症候群
など
痛風検査
尿酸
基準値:2.1~7.0mg/dL
細胞が分解された後にできる老廃物で、通常は尿中に排泄されますが、腎機能が低下したりすると、血液中に増加します。尿酸値の高い状態が続くと、尿酸の結晶が足の指の関節にたまり、激痛を伴う痛風発作を引き起こします。
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高値
痛風
腎機能障害
腎・尿路結石
など -
低値
肝硬変
など
炎症反応
CRP定量
基準値:0.30以下 mg/dℓ
炎症や体の組織に障害が起こったり、免疫反応が起こった時に血液中に増えるタンパク質です。このCRPは、疾患を特定することはできませんが、炎症の有無や経過を調べることがきます。
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高値
細菌・ウイルス感染症
関節リウマチ
心筋梗塞
など
糖代謝
空腹時血糖
基準値:100~125 mg/dℓ
健康な人は、血糖値が上がると膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、血糖値を下げる働きをします、しかし、インスリンが不足したり、作用が不十分だと、血糖値が高いままの状態が続き、糖尿病となります。
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高値
糖尿病
膵疾患
など -
低値
甲状腺機能低下症
下垂体機能低下症
など
HbA1c
基準値:5.5~6.4%
赤血球中に含まれるヘモグロビンにブドウ糖がくっついたものをHbA1cと呼びます。過去1~2ヶ月の平均的な血糖状態を調べることができる為、検査直前の飲食に左右されません。糖尿病の診断や血糖コントロールの指標として用います。
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高値
糖尿病
高血糖を呈する疾患
など -
低値
溶血性貧血
など
肝炎ウィルス検査
HBs抗原
基準値:陰性(-)
B型肝炎ウイルスに感染しているかを調べる検査で、HBs抗原は、陽性であればHBVに感染し、慢性肝炎から肝硬変や肝臓がんに進展する可能性があります。
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陽性
B型肝炎ウイルスに感染している可能性がある
HCV抗体
基準値:陰性(-)
C型肝炎ウイルスに感染しているかを調べる検査で、強陽性であれば現在C型肝炎に感染している可能性が高く、値が低ければ過去に感染し治っている可能性があります。
-
陽性
C型肝炎ウイルスに感染している可能性がある
リウマチ因子検査
RF定量
基準値:15以下 U/mℓ
自己免疫疾患(関節リウマチ等)が起こると、リウマトイド因子というタンパク質が血液中に現れ、主に関節リウマチの診断に用いられます。高値であれば、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病や肝炎,心筋梗塞などが疑われます。
-
高値
膠原病
肝疾患
心筋梗塞
など
貧血検査
血清鉄
基準値:男性 45~200ug/dℓ女性 40~170ug/dℓ
血清中の鉄は、食物から摂取され、骨髄での赤血球の生成やヘモグロビンの合成に利用されています。血液中の鉄分が不足しているかを調べる検査で、鉄欠乏性貧血などの診断に役立ちます。
-
高値
再生不良性貧血
急性肝炎
など -
低値
鉄欠乏性貧血
感染症
悪性腫瘍
など
腫瘍マーカー
腫瘍マーカーは、がんの存在によって血液中に増加する物質で、採血で簡単に調べることができますが、がんが存在しても必ずしも数値が増加するわけではありません。また、がん以外の病気であっても増加し、腫瘍マーカーによって対象臓器が1つではありませんので、どの臓器でどんな疾患かは精密検査を受けて下さい。
- A
-
AFP
- 基準値 10.0以下 ng/ml
- 疑われる疾患 肝癌 など
- C
-
CA125
- 基準値 35.0以下 U/ml
- 疑われる疾患 卵巣癌 など
CA15-3
- 基準値 27.0以下 U/ml
- 疑われる疾患
乳癌(再発)
卵巣癌 など
CA19-9
- 基準値 37.0以下 U/ml
- 疑われる疾患
膵癌
胆のう胆管癌 など
CEA
- 基準値 5.0以下 ng/ml
- 疑われる疾患
食道癌、膵癌、胃癌
結腸癌 など
CYFRA
- 基準値 3.5以下 ng/ml
- 疑われる疾患 肺扁平上皮癌 など
- N
-
NSE
- 基準値 16.3以下 ng/ml
- 疑われる疾患
神経芽細胞腫
肺小細胞癌 など
- P
-
ProGRP
- 基準値 81.0未満 pg/ml
- 疑われる疾患 肺小細胞癌 など
PSA
- 基準値 4.00以下 ng/ml
- 疑われる疾患
前立腺癌
前立腺肥大症 など
- S
-
SCC
- 基準値 2.0以下 ng/ml
- 疑われる疾患
肺扁平上皮癌、食道癌
子宮癌 など
SLX
- 基準値 38以下 U/ml
- 疑われる疾患
膵癌、卵巣癌
肺腺癌 など
- T
-
TPA
- 基準値 75未満 U/l
- 疑われる疾患 膀胱癌,肺癌 など
- 他
-
エラスターゼ1
- 基準値 300以下 ng/dl
- 疑われる疾患 膵癌 など
尿中NMP22
- 基準値 12.0未満 U/ml
- 疑われる疾患 膀胱癌 など