触診
触診の所見
- あ
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えくぼ症状
腫瘤直上、辺縁の皮膚を両手指で軽く寄せるようにした時、その中央が陥凹しえくぼ様になります。
がん細胞が皮膚近くまで達すると、周辺組織を引き込む為、えくぼ様にくぼむことがあります。 - か
-
潰瘍
皮膚の破壊、壊死により皮膚組織が露出した状態で、潰瘍が進行すると不快な臭いや出血等がでる場合もあります。
- な
-
乳頭陥凹
乳頭下組織の収縮、牽引により乳頭が落ち込んで、乳頭全体が牽引されます。
乳頭分泌
妊娠・授乳期以外に乳頭から分泌物がある場合で、基本的には問題ありませんが、分泌液が血性(褐色)の場合は、非浸潤性乳管癌や乳管内乳頭腫などが疑われます。
- は
-
皮膚陥凹
炎症や癌が皮膚に及んだ時、触診せずに皮膚に陥凹がみられます。また、両腕をあげたり、前傾姿勢をとったりして現れることもあります。
びらん
乳頭や乳輪部にただれ(びらん)ができている状態です。湿疹やかぶれがかさぶたになったり、また再びただれが起きるような状態を繰り返す場合は、早期乳がんの可能性があります。
浮腫
むくんでいる状態です。手術で腋窩(わきの下)リンパ節を切除した後や、放射線治療などでリンパ管に障害が起きたとき、後遺症として腕がむくむ場合があります。
発赤
炎症性の変化が起こり、皮膚細小血管の充血、うっ滞により皮膚が赤く見える状態です。 発赤や乳房の腫脹(腫れ)がある時は、炎症性乳がんが疑われます。
- ら
-
リンパ節触知・腫眼
腫瘤に付随して認められたときに重要な所見で、硬度が硬いとき、癌の転移を疑います。
マンモグラフィ
腫瘤
境界明瞭
腫瘤と周辺組織の境界が明瞭で、辺縁が平滑であるものを表し、良性と悪性があります。
明らかな良性なもの
- ・粗大石灰化を有するもの(線維線種)
- ・脂肪を含むもの(脂肪腫・過誤腫・乳瘤・オイルシスト・リンパ節)
その他の円形・楕円形・軽度分葉形で境界明瞭な腫瘤
充実腺管癌・髄様癌・粘液癌・嚢胞・線維線種・葉状腫瘍・乳頭内乳頭腫などがあげられる。
境界不明瞭
境界不明瞭の理由として、腫瘤の周囲への浸潤あるいは進展のために境界が追えない状態と考えられます。
乳頭腺管癌など、多くの乳がんが疑われます。
微細分葉状・鋸歯状
腫瘤の辺縁がよく見ると細かく凹凸不整で毛羽立ちがあるもので、辺縁が乳がんの不整な辺縁や乳がんが周囲組織に浸潤していく状態と考えられます。乳頭腺管癌など、多くの乳がんが疑われます。
スピキュラ
線維増生が強く、浸潤性に周囲組織を巻き込みながら発育していく乳がんの形を表しています。硬癌が最も多く、浸潤性小葉癌もスピキュラを有します。その他にも、良性疾患の術後瘢痕、放射状瘢痕、脂肪壊死、硬化性線維症、膿瘍などもスピキュラをします。
石灰化
明らかな良性なもの
- * 皮膚
- 中央が透亮性の石灰化。
- * 血管
- 平行線、線状の管状石灰化で、血管の走行に一致している石灰化。
- * 線維線種
- 粗大(ポップコーン状)石灰化で、退縮した線維腺腫に見られる石灰化。
- * 乳管拡張症
- 大きな桿状(棒のような形状)の石灰化。
- * 円形石灰化
- 円形か楕円形の辺縁明瞭な石灰化で、大きさ1mm以上のものか1mm以下でも孤立性のもの。
- * 中心透亮性
- 円形か楕円形で、中心透亮性の石灰化。
壁が厚い場合は、脂肪壊死や線維線種の石灰化であることもあります。 - * 石灰乳
- 嚢胞内に沈殿したカルシウムによる石灰化像。
良悪性の鑑別が必要な石灰化
悪性を疑われる石灰化は、形態と分布によって判定され、その組み合わせによって良性・悪性を疑います。
その他所見
- か
-
管状影
拡張、肥厚した乳管を表しています。
局所的非対称性陰影
局所的に左右差としてとらえられるもので、真の腫瘤としての境界や濃度を持たないものを表します。 正常乳腺のことも多いですが、良性と判断出来ない場合は精密検査となります。
構築の乱れ
腫瘤は明らかではないですが、正常の乳腺構築が歪んでいます。同一部位に手術暦がない場合は、癌が疑われます。
- は
-
非対称性乳房組織
両乳房を比較し、乳腺濃度の違いや乳房組織の体積が異なるものを言い、通常であれば正常になります。しかし、触診でも非対称性を指摘された場合、病的所見の可能性もあります。
梁柱の肥厚
梁柱とは、リンパ管、血管、クーパー靭帯などを表わします。炎症性乳がん、乳がんや乳腺炎、乳房温存術後の放射線治療後などにより、腋窩のリンパ管の流れのうっ滞,静脈が拡張した時,クーパー靭帯の癌細胞浸潤等に認められます。
腫大腋下リンパ節
腋窩(わきの下)にあるリンパ節が乳がんの転移により腫大しているか判定する。脂肪を含むものは問題ないが、含まないものは悪性を疑う。
- な
-
乳房内リンパ節
乳房内に小さな腫瘤影として見られるが、くびれたような形をしているため見分けがつく。生理的なものなので、心配ありません。
乳腺評価
* 乳房内の乳腺実質の量と分布に関する評価で、病変が正常乳腺に隠されてしまう危険性の程度を示したものです。
- 脂肪性
- 乳房はほぼ完全に脂肪に置き換えられいる。(病変の検出が容易)
- 乳腺散在
- 脂肪に置き換えられた乳房内に乳腺実質が散在している(病変検出は比較的容易)
- 不均一高濃度
- 乳線実質内に脂肪が混在し、不均一な濃度になっている
(病変が正常乳腺に隠される危険性あり) - 高濃度
- 乳線実質内に脂肪の混在はほとんどない(病変検出率は低い)
カテゴリー
* マンモグラフィー検診では、診断結果を5段階に評価することをカテゴリーといいます。