健康診断Medical Checkup

上部消化管撮影

胃の名称

食道

食物が胃に送り込まれるときに通過する25cmほどの長さの管です。

噴門部

胃と食道の結合部分。

胃底部(穹窿部)

胃上部のふくらみで噴門に近い部分。

胃体部

胃の大彎および小彎を3等分し、それぞれの対応点を結んで3つの領域に分け、上から胃体上部・胃体中部・胃体下部と別れている。上部から下部まで全体を胃体部という。

前庭部

胃の出口の付近。

幽門部

十二指腸とつながっている出口の部分。

十二指腸球部

胃から幽門を経て、十二指腸に入ってすぐの部分。

胃下垂

胃が正常な位置より常に下がっている状態を胃下垂といいます。お腹の壁の脂肪不足や腹部圧力が低下している痩せ型の女性に多く見られます。胃下垂になると、食べた物が胃の中に正常より長くたまった状態になり、消化に負担がかかりやすくなりますが、体型とも関係があり必ずしも病気とはいえません。

胃潰瘍

職場や日常生活ストレス、喫煙、飲酒、刺激物などの刺激は胃潰瘍を引き起こし、上腹部の痛みや胸やけ、膨満感などの様々な症状が起こります。胃潰瘍は、胃酸などにより、胃の粘膜が傷つけられ、最終的には胃に穴が開く病気です。出血する場合もあり、激痛だけでなく死に至ることもあるので、内視鏡などの精密検査が必要です。

胃癌

胃癌は、胃壁の粘膜内にある細胞が癌細胞になり増殖を繰り返す癌で、特殊な胃癌としては、胃壁の中で広がって粘膜の表面には現れない「スキルス胃癌」もあります。胃癌は進行すると、近くにある臓器にも広がっていきます。胃癌の要因は、生活習慣や、ヘリコバクターピロリ菌の持続感染などが関係します。胃癌の症状は、無症状の人もいれば、胃の痛み・不快感・違和感、胸やけ、吐き気などの症状が出る人もいますが、胃炎や胃潰瘍でも起こります。

逆流性食道炎

何らかの原因により胃酸が食道に逆流することで、食道粘膜は強い酸である胃酸にさらされて炎症を起こします。胃から食道への逆流が繰り返し起こると、食道の粘膜にただれや潰瘍が生じ、胸やけや呑酸などの不快な症状が起こります。

憩室

胃・十二指腸憩室は、胃壁や十二指腸壁の一部が袋状に拡張して突出したものです。憩室の多くは予後が良好なので、とくに治療する必要はありません。小さな胃憩室は多くが無症状ですが、胃憩室炎、胃潰瘍、出血などの合併がみられた場合は、治療が必要となります。

十二指腸潰瘍

ストレスなどで粘膜がただれ、傷ついてしまい潰瘍ができる病気です。十二指腸潰瘍は、空腹時もおこる場合もあります。さらに症状が悪化すると、十二指腸の粘膜は薄いので、出血したり穴があいてしまい激痛だけでなく死に至ることもあるので、内視鏡などの精検査が必要です。

十二指腸球部変形

潰瘍等の原因により、十二指腸球部が変形していることを指します。

食道癌

食道癌は食道の内面をおおっている粘膜の表面にある上皮から発生します。食道の上皮は扁平上皮でできているので,食道癌の90%以上が扁平上皮癌です。食道癌は初期症状がないことが多く、癌が進行度すると食べ物を飲み込んだ時に胸の奥が痛む、熱い物を飲み込んだときにしみる、食道で食べ物がつかえる、体重が減少する、声がかすれるなどがあります。

食道裂孔ヘルニア

食道が横隔膜を通り抜ける間隙である食道裂孔から、本来腹腔内にあるべき胃が胸腔内に入り込む状態を言います。胃酸などの胃内容物が食道へ逆流し、逆流性食道炎を起しやすい状態です。症状があれば治療や手術療法を考慮する場合があります。

粘膜下腫瘍

粘膜下腫瘍は、腫瘍が粘膜の下に存在し正常粘膜に覆われている為に、正常粘膜が盛り上がっているように見える病変です。良性病変から悪性病変まで多様で、ほとんどの場合は無症状です。腫瘍が表面に顔を出している場合は、そこから出血をして、血を吐いたり、便が黒くなったりすることがあります。

瘢痕

潰瘍が治り、粘膜が修復されたときにできた変化をいいます。

ポリープ

ポリープとは、胃の粘膜に細胞の異常増殖によってできた突起物で、一般に無症状です。ポリープは、良性と悪性があり、良性(過形成ポリープ)の場合は、取り除かずに定期的な検査で経過を見ていき、悪性の場合は、取り除く必要があります。X線検査では、良性か悪性かを判断できませんので、内視鏡検査が必要となります。

慢性胃炎は、胃が慢性的に炎症を起こす病気で、胃の胃酸を分泌している腺が、萎縮をおこし修復されずに進行していく胃粘膜の病気です。萎縮とともに胃酸の分泌が減少します。症状は様々ですが、上腹部がもたれて不快感を示しやすく、強い痛みを伴わない場合が多いです。慢性胃炎には、萎縮性胃炎や、過形成性胃炎などがあります。

胃壁をも溶かす「胃酸」が分泌しすぎたり、胃酸から胃を守る「胃液」が分泌されにくくなり、胃の粘膜は、傷ついてえぐれてしまう慢性胃炎のひとつです。えぐれた胃の粘膜は炎症を起こし、「胃痛」「いもたれ」等の症状やひどい場合は「嘔吐」等の症状がでます。

胃酸や粘液などが徐々に減り、胃の粘膜が薄くなり、年月をかけて胃の粘膜が萎縮してしまう慢性胃炎のひとつです。ピロリ菌が大きく関与している場合が多く、ピロリ菌のない人もストレスなどで発症する場合もあります。症状は、みぞおち辺りの不快,胃もたれ,胃の痛み等があり、この萎縮性胃炎が重症化すると、胃がんになるリスクがかなり高くなります。

ピロリ菌を退治しようと大量のリンパ球が胃の粘膜に集まり類粒状の隆起を作るのが特徴で、このリンパ球が自分自身の胃の粘膜を傷つけてしまい炎症を起こす慢性胃炎のひとつです。10~20歳代の若い人、特に女性のピロリ菌感染の胃によく見られます。鳥肌胃炎は胃がんになりやすいので、内視鏡などの精密検査が必要となります。

隆起性病変

隆起性病変とは、胃粘膜の表面が隆起していて小山のようになっている状態を示します。胃粘膜の内 腔に突出(隆起)した病変で、良性のものと悪性のものがあります。良性腫瘍として有名なものは「胃粘膜下腫瘍」で、胃の悪性腫瘍の代表は、「胃がん」です。内視鏡検査の精密検査が必要となります。